電車に乗っていた。
スマホいじりながらイヤホン
してるけど何も聴いたりしてない
状態で、
車内は空いていて俺は7人がけの
真ん中が3人分空いている
その真ん中に座っていた。
目黒か恵比寿あたりで
お母さんと女の子が乗って来た。
見てないけど足下だけで
『セレブ風マダムとそのお嬢ちゃん』
てわかる感じだった。
『当然シカト』
だったのだが、その二人が
俺が座ってる所に来て
お母さんが娘に
俺の隣に
「座りなさい」
て、手でうながしているのが目の端に入った。
ので、俺は
「親子2人で並んで座れた方が良かろう」
と思い、1つ左にずれて座りなおした。
恩着せるつもりも
気に入られたいつもり
も全くないので
「俺を甘く見んな」
て感じでそれでもシカト決め込んでた。
すると女の子が
「優しいね」
とお母さんに話しかけていた
母親がうなずいたか
どうかは知らない。
見てないし
聞いてないから。
でもお母さんがずっと俺の方を
見ているのが気になったので
いじめるつもりも毛頭無いので
チラッとだけ
視線をくれた。
そしたらえらい美人で
面食らった。
もうその時点で
車内のまわりの視線が気になり始め
かなり居心地が悪くなってきて
「早く新宿着かねーかなー、降りてーなー」
と思っていた。
逃げるのも
恥ずかしいので
なんとかその状態を堪えていた。
すると、そのセレブ風親子が
原宿で席を立ち
降りていった。
その時お母さんが
軽く会釈をして
俺の前を通り過ぎて行った。
もう俺は山手線内で座りながら
体が3センチほど宙に浮かんでしまうこと
については、あきらめる他無いようだった。